カテゴリー
ブログ

『新日本延命学』を読む 6

 『新日本延命学』では、新日本延命学療法によって、多種多様な病気が治ることが説明されています。目次から拾ってみると、ガン、ムチウチ症、脳卒中、心臓病、動脈硬化症、高血圧症、低血圧症、貧血症、白血病、肺結核、風邪と熱、肺炎、ぜん息、肝炎と黄疸、肝硬変、胃酸過多症、胃炎とかいよう、糖尿病、下痢、便秘、神経痛、関節炎リウマチ、脚気、化膿、結石症が並んでいます。

 実際に、宮原氏の施術を受けて、これらの疾病から救われた人がたくさんいたことは間違いないです。また、宮原氏の治療手技を学んで治療に携わった人たちも、その治療効果を実証してきたと言ってよいと思います。
 しかし、その事実を説明する理論について、『新日本延命学』に記されている内容には、疑問点が多いです。中でも最大の問題は、運動神経筋と球の発見の経緯が明らかにされていないことです。
 p.2に、「一般によく使われている言葉に、リンパ腺というのがあります。リンパ腺が腫れる、リンパ球ができた。あるいは、年を取ってスジが硬くなったから身体が曲がらない。などといっているのが「新日本延命学」でいう運動神経筋と球のことなのです。アキレス腱というのも、運動神経筋の中の一本になるのです。」
とあります。そうだとしたら、運動神経筋と球は、宮原氏が発見したと言えるでしょうか。
 また、運動神経筋の性質について述べられている部分で、矛盾が見られます。p.4恐ろしい「冷胃症」の冒頭に、
「運動神経筋が硬くなっているところに、何かの急激な無理が起きて球ができると、運動神経筋が縮んできますが、この「縮む」という現象は同時に「冷える」という結果を生み出します。」
と説明があります。そして、p.6では、
「盲腸炎は、‥中略‥いつも硬くなっている運動神経筋に、急激な疲労がくると、盲腸のところで炎症を起こすのです。この炎症を起こした熱のために化膿をして、盲腸の部分の組織が犯されていくのです。」
という具合です。無理は冷えを招き、疲労は熱を生じると使い分けていますが、納得することはできません。

 わずか6ページで、新日本延命学の要と言える運動神経筋の説明に矛盾が見られます。各疾患の説明においても疑問点が多い。特に、ガンについての記述は、何を観察した結果そう言えるのか分かりません。半世紀前には、そういう説もあるのかと、受け入れられたかもしれませんが、非科学的と批判されても仕方ないでしょう。
 ですが、批判の対象は、説明の仕方です。はじめに書いた通り、新日本延命学療法の治療効果は、確かめられています。SujiLabでは、科学的態度で運動神経筋について研究しています。